「なぜ伝統的なやり方を続けるのですか?」

「伝統技術を守り続けてください!」

 

私は、木の特性を活かし、木と木を組み上げて建物を構成する「伝統構法」が好きです。 自然に対抗するのでなく自然と共生する価値観、多様で不揃いな自然素材を巧みに活かす高度な知恵や工夫に「美」や「粋」を感じるからです。また、これは建築をする上で、最も有効な技術だとも考えています。「伝統」を意識してやっているわけではないので「伝統構法を守り続けよう」という使命感は私には全くありません。

 「伝統」とは、日常的な行動や考え方、生活に根ざした風習やしきたりなど、あくまでも無意識レベルで当たり前に存在するものだと思っています。これらは、私たち日本人が残そうと努力した結果残ったものではなく、残るべくして残ってきたものです。「伝統」とは決して作為的なものではないのです。

 「伝統構法」は、西洋化や近代化によって消滅することなく、少しずつ形を変えながら100年後にも残り続けるでしょう。それは日本人だけでなく世界中の人たちが京都に魅了されていることからもよくわかると思います。人は自然のあるがままの姿を生かした建築物に「美」を感じるからです。これまで受け継がれてきた「伝統構法」は、現在の新たな部分を吸収し、さらに新しく生成されていくのは間違いありません。私はこれからも、世界中の同志と「伝統構法」による建築を楽しみたいと願うばかりです。

 

伝統とは