「何年で一人前になれますか?」

「どのくらいで綺麗に出来るようになりますか?」

 

 人にはそれぞれ得意不得意があり、作業に対するモチベーションも異なります。

なので、誰もが同じ期間で作業を習得できるとは考えられないのです。作業習得までを「期間」で表現するのはとても曖昧であり、これほどあてにならないものはありません。

 

 私は「何年やったか」という期間ではなく「何回やったか」という回数が、その人の技量を測るものさしの1つになると考えています。どんな仕事であっても、一人前になるには「回数」が必要なのは間違いありません。

 

 例えば、AさんとBさんの二人の大工が、木に穴を掘る練習をしています。Aさんは1日2回穴掘りを練習し、Bさんは1日3回穴掘りの練習をしたとしましょう。この人たちはどれくらいの「期間」で、木に上手に穴を掘ることが出来るようになると思いますか?2人とも1年ほど練習したら、同じように上手になるのでしょうか?

ここで一度、この2人の練習回数に着目してみましょう。2人の1日の練習量の差はわずか1回でしかありませんが、1ヶ月でその差は30回、1年でその差は360回、そして3年もすればその差1000回以上に広がります。明らかに1日に3回穴掘りの練習をしたBさんの方が、上手くなっていると思いませんか?同じ期間であっても、千回行った人より1万回行った人が、1万回行った人より10万回行った人が腕をあげます。

ですので、この2人が同じ期間・同じ大工仕事をしていたとしても、数年後に同じ技量であることは考えられないのです。 穴掘りに関してだけ言えば、Bさんの技量がAさんに優っていることが予想されます。

 

 この例からも分かるように、ある「一定の期間」を経過しないと一人前になれないわけではないのです。私たちが平等に与えられた時間をいかに自分のために、技術向上のために使うことができるか。これこそが、最も早く腕を上げる・一人前に近づく方法なのです。なので、「〇年経ったら一人前になれる」なんてことは、誰にもわかりません。全てあなた次第です。あなたが自分に与えられた時間を上手に使うことさえできれば、他の誰よりも早く一人前の仕事ができるようになるはずです。これは大工の世界に限らず、あらゆる世界において同じことが言えるのでないでしょうか。

 

 キャリア20年の職人がキャリア5年の職人より上手くできるのは、単純に20年という期間で何千・何万回という回数をこなしてきたからだと言ってもよいでしょう。キャリアは短くても、限られた時間の中で作業を繰り返す(経験する)ことさえできれば、キャリアの短い職人の方が上手くできる事だってあり得ます。私たちは誰もが1日24時間しか持っていません。その24時間の使い方こそが、あなたの技術を高め、技を極めていくのだと私は考えてます。

 

「上手く出来るようになりたい!」「一人前の仕事をしたい!」そう思うのであれば、今すぐに時間の使い方を見直してください。ただぼんやりと時間を過ごしてはいけません。

 

いつもより1時間早く起きて、穴を掘ってください。鉋の刃を研いください。

そうして過ごした期間は、あなたの腕を間違いなく向上させるでしょう。

 

 

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